外傷性大動脈解離 (だいどうみゃくかいり)
大動脈解離は、身体の中で一番太い大動脈が裂ける病気で、血管が破裂してショック症状を引き起こす、身体に酸素や栄養が供給されない緊急事態が一瞬のうちに起こります。
病院に到着前に50%の人が亡くなると言われており、致死率の高い、緊急性を要する外傷です。
大動脈が、縦裂きになった状態を大動脈解離と言います。
縦裂きとは具体的には、内膜のどこかに傷ができ、本来、血液が流れるべき血管の内側から内膜の傷を通して内膜の外に血液が流出し、内膜と外膜が中膜のレベルで剥がれ、裂けてしまう状態のことを言い、解離とは剥がれて、裂けることです。
血液が流れるべきでない場所、偽腔または解離腔にも、血液の流れや溜まりが生じます。
内膜にできた穴をエントリーと言います。
剥がれた内膜はフラップと呼ばれています。
大動脈解離が、枝別れ部分に生じると、枝別れ部分が解離腔によって圧迫され、狭窄や閉塞することが予想されます。さらに、その枝別れ部分が引きちぎられ、枝への血流が不良となります。
また枝別れ部分に解離がなくても、他の部分の解離により枝別れ部分が閉塞され、枝の血流が不良となることもあります。大動脈解離により、頭部の血管が閉塞されると脳梗塞となり、冠状動脈の閉塞は心筋梗塞となります。どの枝の血流が不良になっても、命にかかわる症状となります。
③大動脈弁の閉鎖不全
大動脈の始まりは心臓の出口ですが、ここには心臓から出た血液が、再び、心臓に戻ることなく、血液の流れを一方向にするための大動脈弁があります。
大動脈の解離が、根元まで進行すると、この弁の枠が壊れ、大動脈弁が閉じなくなり、一度、心臓から大動脈に出た血液が心臓に逆流することも予想されます。
これを大動脈弁閉鎖不全と呼び、心臓には急激な負担がかかり、急性心不全状態となります。
身体の血液の循環は不良となり、重症例では、急激に血圧が低下し、ショック状態を引き起こします。
大動脈解離の主たる治療は、血圧を下げる療法と、手術療法があります。
外傷性大動脈解離における後遺障害のポイント
1)大動脈解離では、真腔と偽腔が交通している偽腔開存型が多いのですが、偽腔に流入した血液が比較的短期間で血栓・器質化し、偽腔に血流のない偽腔閉塞型となることがあります。
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弁護士法人江原総合法律事務所
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