後遺障害認定のポイント140 大腿骨顆部骨折(だいたいこつかぶこっせつ)

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脛骨と膝関節を構成している大腿骨の遠位部の骨折です。
大腿骨遠位端骨折、大腿骨顆上骨折の傷病名も同義語で、分かりやすくは、膝近くの、太ももの骨折ということです。

交通事故では、車のバンパーやダッシュボードに大腿骨遠位部を打ちつけることで発症しています。

大腿骨顆部骨折は、骨折時に骨折片が膝の後方に押しやられ、膝の後方を走行している膝窩動脈損傷を合併することが多いので、注意を要します。
膝関節に近い部分の骨折であり、膝の可動域制限や歩行に支障をきたすなど、後遺障害を残すことが多く、治療の困難な骨折です。

症状は、膝周辺の激痛と腫れ、膝関節の異常可動が認められ、歩行はできません。
単純XP撮影で大腿骨顆部の骨折が認められます。

従来、転位のないものは、徒手整復後、大腿から足先までのギプス固定でしたが、膝関節の拘縮をきたす可能性が高いところから、最近は上のイラストに見られるオペによる内固定が採用されています。
術後、早期からCPMを用いて膝部の屈伸運動訓練が開始されます。

140-2.jpg                                  CPM

 

大腿骨顆部骨折は、膝窩動脈損傷を伴うことが多く、この場合、損傷より末梢に血液が供給できなくなり、壊死に発展、切断が検討さます。

交通事故では、大腿骨だけの骨折にとどまることなく、同一下肢の大腿骨と脛骨を同時に骨折する、膝関節内骨折となることが多いのです。

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①    ②    ③    ④

4例の図を示しましたが①は関節面の骨折を伴っておらず、早期に内固定を実施すれば、良好な回復が期待できます。②③④は関節面の骨折を伴っているケースです。
中でも④は、腓骨神経の断裂、膝窩動脈損傷を合併することが多く、治療が極めて困難で、切断も視野に入れた検討がなされています。

大腿骨顆部骨折における後遺障害のポイント

1)骨折により、重症度が違います。
GradeⅠ 骨折が関節面に達していないもの、
GradeⅡ 骨折が関節面に達しているが、関節面の1部は骨端と連続しているもの、
GradeⅢ 関節内骨折が、骨端部から分離しているもの、

※GradeⅢは、骨端部と関節面の単純骨折と骨端部と関節面の粉砕骨折の2つに分類されています。

1)この骨折が見逃されることは、想定できず、現在では、大腿骨顆部骨折を保存的に治療することは、極めて異例なこととされており、全件がオペ、プレート、スクリューなどによる内固定がなされています。

もし、保存的治療が選択されたときは、長期の入院、膝関節の拘縮、そして遠位部骨片の伸展変形や関節面の不整の後遺障害が予想され、とりわけ高齢者では、長期の臥床により、寝たきりとなる危険性があるようです。

関節面の骨折を伴わない顆上骨折、GradeⅠであれば、プレートやスクリュー固定とCPMの使用で改善が得られ、後遺障害を残すことなく治癒しています。
関節に近い部位に、プレート固定がなされると、関節包、靱帯など、関節周囲の組織が影響を受けて、関節が硬くなる、拘縮の発症が予想されるのですが、これを防止するのがCPMの役目です。

2)問題は、GradeⅢで開放性粉砕骨折をしているもの、後十字靱帯の剥離骨折、半月板損傷を合併している重篤例です。
優れた専門医のオペであれば、症状固定までに1年間近くを要しますが、経験則では、不可逆的な損傷では、10級11号もありますが、大半は12級7号どまりで、かなりな改善が得られています。

3)専門医でないときは、ほぼ確実に、重篤な後遺障害を残します。
しかし
①MRIで軟骨損傷、半月板損傷や前・後十字靱帯損傷を立証する、
②膝関節の不整を3DCTで、明らかにする、
③動揺関節を、膝関節のストレスXP撮影で左右差を証明する、
これらが任意になされることはあまりなく、主として、被害者の自覚症状を中心とした後遺障害診断書の作成がなされることが、一般的です。医師としても、自己の治療によっても治っていないことを積極的に証明する必要性を理解することが困難なためです。

一方、被害者も、後遺障害に記載されている内容を理解しないまま保険会社に提出することになります。その結果、杖なしでは、歩行もままならないのに、14級9号が認定される、ということもあり得ます。

少し事案が異なりますが、最近当事務所で経験した案件でも、測定方法が間違っている、ひどい部分は、左右を逆に記載しているなどの間違いがあり、これを指摘し、修正を依頼したところ、左右逆の記載などの明確な誤りはさすがに修正しましたが、それ以外については、自己の誤りを認めず、修正に応じ無いという対応でした。後遺症診断書上は、14級程度の後遺症ですが、相談者の訴えからすれば、記載内容が正しいとは考えられなかったため、無理を言って他の医師に診察と診断を依頼し、無事10級の認定を受けたケースもあります。
 

 





 

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