163 ギヨン菅症候群

尺骨神経が、ギヨン管というトンネルの中で絞扼・圧迫されているものです。

尺骨神経は、頚椎から上腕の内側を走行し、肘の内側を下降し、手首周辺で、有鈎骨の鈎と豆状骨で構成されるギヨン管の中を通過します。

 

有鈎骨骨折は、先に、「15手根骨の骨折 有鈎骨骨折」で解説していますが、右手では、環指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。

 

交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。

自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。

   

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手のひら側のCT画像ですが、突起=鉤が骨折しているのが確認できます。

 

有鈎骨の骨折により、ギヨン管症候群を発症します。

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神経伝達速度検査によって病変部位の特定が可能です。

治療は保存的に低周波電気刺激療法やマッサージ、レーザー光線の照射が行われますが、効果が得られないものは神経剥離術、神経移行術がおこなわれます。

これらが不可能なものは腱移植術をおこない、装具の装用で機能を補完することになります。

専門医の執刀でなければ、なりません。

 

尺骨神経麻痺における後遺障害の後遺障害のポイント

 

1)肘部管症候群、ギヨン管症候群の傷病名であれば、尺骨神経が肘部管、ギヨン管のトンネルの中で絞扼・圧迫を受けて神経麻痺を発症しているのであり、この要因を排除すれば、改善が得られのが通常です。

切断や挫滅による神経麻痺であれば、マイクロサージャリーで尺骨神経をつなぐオペとなります。

 

大多数は、切断・挫滅ではなく、肘部管やギヨン管の中での絞扼・圧迫による神経麻痺となります。

したがって、適切早期のオペで回復が得られ、神経麻痺の後遺障害を残さないことが多いです。

 

2)受傷から6カ月近くを経過しており、切断・挫滅や神経絞扼・圧迫であっても、骨間筋萎縮が認められ鷲手変形をきたしているときは、陳旧性、つまり、古傷となっていますから、この段階から専門医のオペを選択しても、元通りは期待できないことが多いようです。

 

このような場合、手関節の屈曲制限で1010号、親指以外の2の手指の用廃で107号、併合9級が認定される可能性が高いのですが、オペによっても、12級もしくは併合11級レベルの後遺症が残るのが一般的です。

 

3)最近、外傷性頚部症候群で、肘部管症候群の傷病名が目立ちます。

肘関節部の切創、上腕顆上骨折、上腕骨内上顆骨折、事故による変形性肘関節症、外反肘、手関節切創などの傷病名がなく、外傷性頚部症候群のみでは、事故との因果関係は不明です。

 

傷病名が肘部管症候群であっても、神経伝達速度検査や針筋電図検査で立証されていないものがほとんどです。後遺障害の申請を検討するのであれば、その立証についても検討が必要になります。

 

 

 

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

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