303 変形性股関節症
変形性股関節症は、先天性の臼蓋形成不全、発育性股関節脱臼、大腿骨頭すべり症、ペルテス病など小児の股関節の病気、また、痛風や化膿性関節炎などによる炎症を原因としたものが中心ですが、ここでは、交通事故による骨折や脱臼など、外傷を原因としたものに絞って解説します。
① ② ③
①股関節の隙間が保たれています。
②股関節の隙間が狭くなっています。
③股関節部の軟骨はすり減り、大腿骨頭が変形し、骨棘が見えています。
股関節に限らず、変形性関節症とは、関節の軟骨部が摩耗し、骨に変形をもたらす傷病名です。
骨盤骨々折では、骨盤輪の連続性が失われるストラドル骨折やマルゲーニュ骨折、仙腸関節の脱臼を伴う恥骨結合離開、大腿骨頭の納まる部分の寛骨臼の挫滅的な骨折、
股関節部では、股関節後方脱臼骨折、股関節中心性脱臼の重症例では、時間の経過によって、変形性股関節症を発症することが予想されます。
軽度な股関節唇損傷であっても、損傷が見逃され、放置されることにより、股関節部の軟骨が広範囲に傷つき、変形性股関節症に移行することが考えられるのです。
症状ですが、股関節は、脚の付け根に位置しており、初期症状では、立ち上がったとき、歩き始めのときに、脚の付け根に痛みを感じる程度ですが、変形性股関節症が進行すると、持続する痛みで、足趾の爪切りができにくい、靴下が履きにくい、和式トイレや正座が困難となり、日常生活でも、長い時間の立ち仕事や歩くことが辛くなり、階段や車・バスの乗降も、手すりに頼ることになります。
股関節部のXP撮影で、確定診断がなされていますが、拡がりを観察するときには、CTが有用です。
変形性股関節症における後遺障害のポイント
後遺障害等級では、人工関節置換術となると10級11号が認定されます。
人工関節に置換した股関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されているときは、8級7号が認定されますが、この後遺障害は、滅多に残すことはありません。
なお、骨切り術では、12級7号です。股関節固定術の場合、後遺障害等級は、下肢の1関節の用廃で8級7号が認定されます。
さて、変形性股関節症は、交通事故後の2次性疾患ですから、治療中に変形性股関節症となってオペを受けることは少ないのです。
示談から3、5、長ければ10年近くを経過して、オペを受けることが想定されるのです。
であっても、人工関節置換では、8級7号、もしくは10級11号が認定されることになり、前回の認定等級との差額を請求しなければなりません。
骨盤骨のストラドル骨折やマルゲーニュ骨折、仙腸関節の脱臼を伴う恥骨結合離開、大腿骨頭の納まる部分の寛骨臼の壊滅的な損傷、股関節部の股関節後方脱臼骨折、股関節中心性脱臼の重症例では、時間の経過によって、変形性股関節症を発症することが懸念されるときは、交通事故に長けた弁護士に委任して示談締結することをお勧めします。
6)通勤災害、業務災害で労災保険の適用を受けているときは、後に変形性股関節症でオペを受けることになっても、再発申請書を提出すれば、治療費、治療期間中の休業給付が支払われ、オペ後の後遺障害部分の損害にも対応してくれるようです。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。