264 眼窩底破裂骨折 (がんかていはれつこっせつ)

 

眼窩底は厚みが薄く、紙に例えられており、外傷で容易に損傷し、眼窩内容物が上顎洞に侵入することも頻繁ですが、生物学的には、これにより、眼球破裂を回避しているのです。

 

※眼窩内容物

眼窩とは、頭骨の前面にあって眼球が入り込む窪みですが、眼窩内容物とは、眼球や視神経・外眼筋・涙腺などの付属器神経、血管、脂肪などのことで、眼窩では、これらを収納し、保護しています。

 

眼窩を構成する骨は、頬骨、上顎骨、涙骨、篩骨、前頭骨、口蓋骨、蝶形骨の7つで、眼窩の上縁と下縁はそれぞれ前頭骨と上顎骨によって形成されています。

前頭骨と上顎骨は、強度があり、骨折し難いのですが、眼窩底は厚みが薄く、とりわけ篩骨は、外傷で容易に骨折してしまいます。

眼窩底破裂骨折は、吹き抜け骨折とも呼ばれ、特に、眼窩内側と眼窩底に多発しています。

 

ふきぬけ骨折では、眼窩内の出血が副鼻腔を介して鼻出血を生じることもあり、眼球運動障害、複視、 視野障害、眼球陥凹、瞼裂狭小化、眼窩下神経領域の知覚障害を発症することがあります。

 

 

交通事故では、歩行者、自転車、バイクの運転者に多く、顔面を強く打撲することで、発症しています。

検査は、顔面の単純XP、内側壁骨折に対してはCTが有効です。

頭部CTでは、3DCTで眼球陥凹と内側壁骨折所見がハッキリと描出されます。

頭部外傷では、MRI撮影も必要です。

眼窩底破裂骨折は、頭蓋骨骨折ですから、脳神経外科の対応が必要です。

 

直後の症状では、眼球の上転障害がみられ、これに伴う複視や視野障害、眼窩下神経領域の感覚障害により頬から上口唇のシビレ、眼球陥没、痛み、骨折部分の腫れ、皮下気腫、目の周りの青紫色のあざ、鼻出血、眼球下垂、球後血腫、眼球内陥、視野狭窄、吐き気などがあります。

 

 

※球後出血

眼窩骨折では、骨折で傷ついた血管から出た血が溜まることがあり、これを球後出血と呼びます。

そうなると、眼球や視神経、眼球に出入りする血管が圧迫されて視力障害を起こすことがあります。

 

※眼球陥入、眼球内陥、眼球陥没

眼窩壁の骨折が広い範囲におよぶときは、眼球が眼窩の中に沈み込みます。

このことを眼球陥入などと言います。

 

眼窩底破裂骨折における後遺障害のポイント

 

1)交通事故外傷では、上手に修復されたとしても、複視を残すことが多いのです。

骨折部分や骨の欠片が、眼を動かす筋肉やその筋肉を支配している神経などを損傷させ、これらの筋肉などの損傷では、眼を上下左右に適切に動かせなくなり、モノが2重に見える複視が生じるのです。

複視には正面視での複視、左右上下の複視の2種類があります。

 

 

検査には、ヘスコオルジメーター=ヘススクリーンを使用し、複像表のパターンで判断します。

 

 

ヘスコオルジメーター

複視の後遺障害の認定要件は、以下の3つとなります。

①本人が複視のあることを自覚していること、

②眼筋の麻痺など、複視を残す明らかな原因が認められること、

③ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向または垂直方向の目盛りで5°以上離れた位置にあることが確認されること、

 

正面視で複視を残すものとは、ヘススクリーンテストにより正面視で複視が中心の位置にあることが確認されたもので、正面視以外で複視を残すものとは、上記以外のものをいいます。

 

複視は、眼球の運動障害によって生ずるものですが、複視を残すと共に眼球に著しい運動障害を残したときは、いずれか上位の等級で認定することになります。

 

正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障を来すものとして10級2号の認定がなされます。

 

左右上下の複視は正面視の複視ほどの大きな支障は考えられないのですが、軽度の頭痛や眼精疲労は認められます。この場合は13級2号の認定がなされます。

 

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

相談料金・着手金0円 交通事故無料法律相談のご予約 TEL:048-940-3971 受付時間 平日9時~22時 土曜10時~18時

交通事故に関する法律相談のご予約はこちら

  • 交通事故無料法律相談のご予約
  • 交通事故に詳しい専門家に相談したい
  • 治療で仕事に行けない・・・どうしたらいい?
  • 保険会社が厳しいことを言ってくる
  • 賠償額がいくらになるのか知りたい
  • 後遺障害等級認定が取れるのか知りたい
  • 法律事務所との連携をお考えの方へ
  • 交通事故に詳しい専門家に相談したい
  • 治療で仕事に行けない…どうしたらいい?
  • 保険会社が厳しいことを言ってくる
  • 賠償金額がいくらになるのか知りたい
  • 後遺障害等級認定が取れるのか知りたい
  • 法律事務所との連携をお考えの方へ