251 外転神経麻痺 (がいてんしんけいまひ)

 

 

外転神経は外側直筋を収縮させ、眼球を外側に向かって水平に動かします。

眼球の運動に関わる神経は、ほかに動眼神経、滑車神経がありますが、正常な視機能を成立させるには、脳の命令にしたがって眼球を的確に動かすことが必要となります。

例えば、両眼を連動させ常に同じ視野を捉えていなければ、モノが2つに重なって見えることになり、正しい立体感も得ることができなくなります。

 

交通事故による頭部外傷で、外転神経が麻痺すると、眼球は外転ができなくなり、正常よりも内側を向く内斜視となります。

側頭骨々折、眼窩壁骨折などにより、外側直筋を断裂したとポイント、同じ症状となります。

そうなると、両眼の視線が見たい物の場所で交わらなくなり、複視の症状が現れます。

複視とは、モノが2つにダブって見えることです。

 

 

眼球運動神経には、

①眼を外側=耳側に向ける外転神経、

②眼を上や下、内側=鼻側に向ける、まぶたを開ける、

瞳孔の大きさや水晶体の厚さを加減する動眼神経、

③眼を下に向ける滑車神経、

の3つがあります。

これらの神経に障害が起きると、複視の症状が現れることになります。

 

外転神経麻痺における後遺障害のポイント

 

外側直筋のみの障害では、眼球運動障害としては、後遺障害等級に該当しませんが、複視を残すときは、以下の基準に基づいて後遺障害等級が認定されています。

 

 

 

複視には正面視での複視、左右上下の複視の2種類があります。

検査には、ヘスコオルジメーターを使用し、複像表のパターンで判断します。

 

 

ヘスコオルジメーター

 

正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障を来すものとして10級2号が認定されています。

左右上下の複視は、正面視の複視ほどの大きな支障はないものの、軽度の頭痛や眼精疲労は認められます。このときは、13級2号の認定がなされます。

 

オペを受けないかぎり、治る、治らないは、判断できないため、現実的な解決としては、症状固定→後遺障害等級の認定申請をすることも検討します。

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

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