225 外傷性胃の破裂 (いのはれつ)

交通事故では、バイクの運転者が転倒・衝突する、車やバイクに歩行者がはね飛ばされ、腹部を強打、腹部をひかれて、また衝撃によって内腔の圧力が急上昇し、胃が破裂することがあります。

 

胃の破裂における後遺障害のポイント
1)結論先行で説明します。
交通事故で、胃の噴門部or幽門部を含む一部が摘出されたものは、13級11号が認定されることになります。画像により、摘出を立証します。

2)胃の全部を摘出したもの、
胃の噴門部、もしくは幽門部を含む一部が摘出され、消化吸収障害、ダンピング症候群、逆流性食道炎のいずれかが認められるものは、11級10号が認定されることになります。
摘出は画像で、その他は、5)6)7)を参照してください。

3)胃の全部を摘出し、ダンピング症候群、または逆流性食道炎を認めるもの、
胃の噴門部、または幽門部を含む一部が摘出され、消化吸収障害およびダンピング症候群、または、逆流性食道炎を認めるものは、9級11号が認定されます。
摘出は画像で、その他は、5)6)7)を参照してください。

4)胃の全部が摘出され、ダンピング症候群と逆流性食道炎を認めるときは、7級5号が認定されます。
摘出は画像で、その他は、6)7)を参照してください。

5)ビタミンB、鉄分、カルシウムを除く、消化吸収障害
胃の全摘により、消化吸収障害が生じるのは、以下の2つを原因としています。
①胃酸・ペプシンの欠如、または不足により、消化不能のまま食餌が腸管に移動すること、
②噴門や幽門機能を喪失することで、未消化のままの食餌が腸管に移動すること、

多くの被害者は、体重減少、食欲不振、下痢、腹鳴などを訴えます。
消化吸収障害は、脂肪、蛋白質、炭水化物の順で障害され、臨床所見あるいは自覚症状として現れないときでも、胃の全摘では、生体に与える影響は大きいのです。

消化吸収障害が認められるには、以下の2つの要件を満たさなければなりません。
①胃の全部、または噴門部、もしくは幽門部を含む一部が切除されていること、
②低体重などを認めること
低体重等とは、BMIが20以下のものをいい、術前と比較して10%以上減少したものを含みます。

※BMI
体重と身長から、人の肥満度を示す体格指数で、体重÷(身長)2で求めます。
BMI指数は、22が標準値であり、最も病気になり難い状態と言われています。
BMIが25以上では、肥満と判定され、生活習慣病を引き起こす可能性が懸念されます。

6)ダンピング症候群
早期ダンピング症候群は、食事中や食後30分以内に、血管運動失調性の症状を伴う腹部症状として発症しており、具体的には、冷汗、動悸、めまい、失神、全身倦怠感、顔面紅潮、頭重感などの全身症状と腹鳴、腹痛、下痢、悪心、腹部膨満感などが列挙されます。

また、晩期ダンピング症候群は、食事摂取後2~3時間で発症するもので、冷汗、全身脱力感、倦怠感、気力喪失、めまい、時に失神、痙攣などの低血糖症状を呈しています。

2つのダンピング症候群に対する治療は、食事指導を主体とした保存的治療であり、食事内容を変更するとともに、1回の量を少なく、回数を増やすこと、食後しばらくは、横臥にて安静とすることなどが指導されています。

症状が残存していても、労働能力に与える支障の程度は、比較的軽度なものですが、ダンピング症候群が認められるには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
①幽門部を含めて胃の切除がなされていること、
②2つのダンピング症候群の、いずれかの症状を呈することが医師の所見により認められること

7)逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃液あるいは腸液が食道内に逆流するために生ずるもので、
胃の噴門部は損傷していないが、胃酸の分泌が多いことなどにより逆流を生じるものと、
噴門部を手術により失ったときに生じるもの=術後逆流性食道炎の2種類があります。
後遺障害の対象は、当然ながら、術後逆流性食道炎となります。

逆流性食道炎の症状としては、胸やけ、胸痛、嚥下困難、吐き気、または食欲不振等が生じます。
横臥すると逆流が起こりやすく、夜間に症状が出現して睡眠が妨げられることがあります。
保存的療法、殊に対症療法として薬剤の投与は継続的に必要とされますが、通常、手術等の積極的治療は、行われていません。
逆流性食道炎が認められるには、以下の2つの要件を満たさなければなりません。
①本人に、胸焼け、胸痛、嚥下困難などの術後逆流性食道炎に起因する自覚症状があること、
②内視鏡検査で、食道にただれ、びらん、潰瘍等逆流性食道炎に起因する所見が認められること、

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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