219 実質臓器 胆嚢損傷 (たんのうそんしょう)

 

胆嚢破裂 (たんのうはれつ)

 

胆嚢は肝臓の下にある小さな器官で、肝臓で作られた胆汁の濃縮・貯蔵を行っています。

胆汁は、脂肪分を乳化して消化吸収をサポートする役割を有しており、必要に応じて胆管と呼ばれる管を通って12指腸の中に排出されます。肝臓で作成される胆汁を蓄え、濃縮するのが胆嚢であり、胆嚢と肝臓、12指腸をつないでいるのが胆管です。

 

多数例ではありませんが、交通事故では、腹部の強打により胆嚢破裂を発症することがあります。

 

胆嚢破裂では、吐き気、右肋骨下部の疼痛、悪寒、胆嚢周辺の圧迫と腫れにより皮膚が黄色くなる=黄疸、発熱、嘔吐などの症状が出現します。

 

胆嚢破裂における後遺障害のポイント

 

1)胆嚢を摘出しても、胆汁を作るのは肝臓ですから、貯蔵・濃縮する場所はなくなりますが、胆汁は、直接、肝臓から12指腸へ供給されます。

当初は軟便が続くとしても、身体が慣れれば、濃度が薄い胆汁でも問題はないと言われていますが、全てが以前と全く同じという訳ではありません。

厚生労働省も、胆嚢を摘出した後において、完全に通常の生理状態に戻るわけではなく、通常に比して脂肪の消化吸収機能の低下をもたらすから、食事制限や食事の摂取時間に制約が生じるなど、一定の支障を生じるのが通常であるとしています。

 

以上から、交通事故により胆嚢を摘出したものは、13級11号が認定されています。

 

2)胆嚢を摘出しても、通常の日常・社会生活が送れるとの理由で、逸失利益を認めない、もしくは認めたとしても3~5年の喪失期間を提案された場合には、訴訟での解決を前提に検討が必要です。

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

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