217 腹部臓器の外傷

 

腹部臓器の外傷と後遺障害のポイントを以下で解説していきます。

 

さて、腹部の臓器は、実質臓器と管腔臓器の2種類に分類されています。

肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胆嚢は、中味がシッカリと詰まった実質臓器であり、胃、12指腸、小腸、大腸などの、消化管は管腔臓器と呼ばれています。

 

交通事故では、腹部が強い衝撃を受ける鈍的外傷により、実質臓器や管腔臓器が損傷しています。

バイクの運転者が転倒・衝突する、車やバイクに歩行者がはねられるものが大多数です。

 

腹部内臓の外傷では、まず出血の有無、場所の検証が重要です。

中心的役割を果たすのは、腹部超音波検査と造影剤を用いたCT検査です。

 

腹部超音波検査は、ベッドサイドでできる、器具を当てるだけの検査で、痛みを伴いません。

数十秒の検査時間で、腹腔内に出血があるかないかを調べることができます。

出血しているときは、繰り返し腹部超音波検査を行うことによって、出血が増えてくるかどうかを調べることもできます。

しかし、エコー検査では、出血源を探し当てることが困難です。

 

したがって、出血が増えてくるときは、造影剤を用いたCT検査を追加します。

CT検査であれば、腹部超音波検査と比較して腹部や背部の深部まで観察が可能で、造影剤を用いることによって出血の勢いも描出することができます。

 

最近のMDCTは、30秒程度の検査時間で、腹部内臓の外傷を詳細に描出することが可能であり、腹部の外傷の診断に大きく貢献しています。

 

1)実質臓器損傷の治療

 

 

肝損傷

 

実質臓器は、衝撃によって破裂することがあり、ほとんどで、損傷部分からの出血を伴います。

それぞれの臓器は、肝臓は胆汁、腎臓は尿、膵臓は膵液などの体液を作っており、実質臓器の損傷部分から、これらの体液が腹部に漏れ出すことがあります。

出血や体液が腹部に漏出すると腹膜炎を発症します。

実質臓器の損傷部からの出血や体液の漏出は、致命傷になることもあり、緊急的な治療を要します。

 

2)管腔臓器損傷の治療

 

 

管腔臓器は、衝撃によって内腔の圧力が急上昇し、破裂することがあります。

そうなると、破裂部から食物や便などの内容物が漏れ出します。

内容物が腹腔内に漏出すると、強い腹膜炎を起こし、放置すると致命傷となります。

管腔臓器損傷の治療法は、原則として外科的手術が選択されています。

治療の要点は、損傷部を修復する、汚染物質を体外に排出することです。

管腔臓器損傷の手術方法は、損傷部位により異なります。

胃や小腸損傷では、破裂部分を縫合する、挫滅部分を除去して再度、吻合します。

 

 

12指腸損傷や大腸損傷も、破裂部分が小さく、挫滅が少ないときは、縫合術ですが、炎症や挫滅が強いときは、複雑な手術が選択されています。

 

12指腸には、胆汁と膵液が分泌されています。

胆汁と膵液は、蛋白や脂肪の消化酵素として働くために、組織の修復を著しく阻害することになります。よって十二指腸損傷の重症型では、複雑な手術が必要になります。

 

大腸損傷は、腸内容物が糞便であるので、細菌による腹膜炎が最も強くなります。

細菌性腹膜炎は、細菌が血管内に侵入し、全身を循環し、敗血症を起こしやすくなります。

敗血症で血圧が下がりすぎたショック状態では、大腸の破裂部分を切除して再度吻合しても、吻合部が閉じないことがあり、再度、糞便が漏出、腹膜炎が悪化し、それが致命傷になることがあります。

 

 

 

悪循環を断ち切る必要から、破裂部を体外に引き出し、一時的に人工肛門とするオペが行われます。

まず、人工肛門を作成し、その後、体力が回復した時点で、通常の修復術が行われます。

これは、二期手術、ダメージコントロール術と呼ばれています。

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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