70 肋骨骨折
前 後
左は、胸を前から見たもので、肋骨は12本あり、籠のように内臓を守るように取り囲んでいます。
胸骨という胸の前の骨とくっついて、胸郭を形成しています。
胸骨に接しているブルーの部分は軟骨なので、柔軟性があります。
胸郭は息を吸ったときに広がり、吐いた時には縮み、衝撃を受けたときには撓んで力を吸収します。
肋骨にも、そのような動きがあります
肋骨骨折は、身体の横側からの外力、前後から圧力が加わることで発症します。
右は、胸を背中側から見た図です。
胸郭の上の部分には、肩甲骨が乗っています。
腕を動かしたときに、肩甲骨も動き、胸郭との間の関節でなめらかな動きがあるときはスムーズに腕も動きます。このように、肋骨は身体のあらゆる部分に影響を与えています。
背中側
胸側
①直接的な外力で、骨折する、
②側方からの外力で、胸側、あるいは背中側で骨折する、
③外力が胸側、または背中側からの外力で、別の場所で骨折する、
先のイラストは、胸郭を輪切りにしたものです。
肋骨骨折は、その形状から、様々な受傷機転で起こります。
1カ所の骨折にとどまらず、多発骨折に至ることもあります。
症状は、肋骨部の強い圧痛、また深呼吸や咳、くしゃみなどで胸郭が動いたときに痛みが増強します。
高齢者では、くしゃみをしたときや、振り返ろうと身体をひねったときなど些細なことで、肋骨骨折を生じることもあります。
肺の一部に血が溜まる血胸になると、被害者は、息苦しさを訴えます。
このときは、パルスオキシメーターで、人差し指を挟み、抹消まで酸素がどれだけ送り届けられているのか、検査を行います。
バルスオキシメーター
これは酸素飽和度といって、動脈血にどれぐらいの酸素があるのかを数値化するものです。
正常では、酸素飽和度は90%以上とされています。
それ以下では、入院が指示されます。
肋骨骨折における後遺障害のポイント
1)肋骨は体幹骨ですから、変形が裸体で確認できれば12級5号が認定されます。なお、この場合であっても、変形のみでは、労働能力の喪失については、争われます。
左右横側の多発肋骨骨折では、これらの変形が確認できることがあります。
外見上の異常が無い場合であっても多発骨折では、骨折部痛を訴えることがあり、この場合、3DCTで肋骨の変形癒合を立証するなどし、痛みの神経症状で14級9号が認定を期待します。
2)胸部前側で、肋骨が胸骨と接する部分は軟骨で形成されています。
衝撃を受けたとき、軟骨部で肋骨がたわむことにより、肺や心臓を保護しているのです。
この肋軟骨部の骨折では、ジクジクとした痛みを残しますので、骨シンチグラフィー検査を受けます。
放射性同位元素が肋軟骨骨折部に集積している像が確認できたときは、肋軟骨骨折を他覚的検査で立証したことになり、痛みの神経症状は、14級9号として評価されます。
なお、XPでは、軟骨は確認できません。
この記事を書いた人
弁護士法人江原総合法律事務所
埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。