56 腰部捻挫・外傷性腰部症候群

脊柱は合計25の椎骨で構成されていますが、5つの腰椎は、それぞれ左右に関節包につつまれた椎間関節があり、椎間板や靱帯や筋肉で連結されています。

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追突などの交通事故受傷により、腰椎が過伸展状態となり、これらの関節包、椎間板、靱帯、筋肉などの一部が引き伸ばされ、あるいは断裂して、腰部捻挫を発症します。

頚部捻挫と腰部捻挫は、診断書に併記されていることが多いのですが、後遺障害の対象として注目されるのは、圧倒的に頚部捻挫、外傷性頚部症候群です。

経験則では、腰部捻挫は椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症の基礎疾患がある被害者に多発する傾向で、このケースでは重症化し、しばしば固定術に発展しています。

 

外傷性腰部症候群における後遺障害のポイント

 

1)損保料率機構調査事務所が公表する、外傷性腰部症候群の149号の後遺障害認定要件

 

「外傷性腰部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見から証明することはできないが、①受傷時の状態や②治療の経過などから③連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、④単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。」

 

①受傷時の状態とは?

「受傷時の状態」 とは、事故発生状況のことであり、「それなりの衝撃がないと後遺障害は通常発生しない」と考えているということです。車VS車の衝突では、物損の状況(修理費用等)が一応の目安になると思います。

いずれにしても、バンパーの交換程度では、後遺障害は通常認められません。

 

②治療の経過とは?

「治療の経過」 とは、事故直後から、腰部痛以外に、左右いずれかの下腿~足趾にかけて脱力感、しびれ感の神経根症状が認められなければなりません。

 

単なる腰部痛とそれに伴う胸腰椎の運動制限は、後遺障害の対象ではありません。

また、事故から数カ月を経過して発症したものは、事故との因果関係が否定されるのが通常です。

 

③連続性、一貫性とは?

「連続性、一貫性」 とは、真面目に(リハビリ)通院を続けているかがチェックされているのです。

通院先も重要です。6カ月以上が経過し、この間、整形外科の診察を受けず、整骨院で施術を受けたものは、14級については、後遺障害の認定はほぼありません。

施術は、治療実績として評価されないことが多いです。そもそも、医師の同意がない治療は、当初保険会社が「内払い」対応で支払をしてくれても、最後の交渉の段階になって、治療費自体を改めて争われることが多いです。

神経症状について、後遺障害の正当な評価を受けるためには、通院先についても慎重に検討すべきです。

 

④単なる故意の誇張ではない?

「単なる故意の誇張ではない」 とは、被害者の常識性と信憑性です。

賠償志向が強く、発言が過激で症状の訴えが画像上の問題がないのに通常よりも極端、公共交通機関の利用に支障がないが、通院にタクシーを利用、長期間の休業と休業損害の請求など、このパターンでは、早期に保険会社側弁護士が介入することも多いです。

 

これらを分かり易く表現するならば、

 

「外傷性腰部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などから証明することはできなくても、痛みや痺れを生じさせるような事故に遭って、自覚症状があり、その原因を突き止めるために早期に医師の診察を受けて、MRIの撮影も受けており、その後も痛みや痺れが継続していることが通院先や通院実日数から推測ができる。

事故から現在までを総合して考えるのであれば、これは、後遺障害と認定すべきであろう。」

ということになると思います。

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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