36 慢性硬膜下血腫

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慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後慢性期、通常12カ月後に硬膜と脳との隙間に血腫が貯まり、血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます。

高齢の男性に多く、好発部位は前頭、側頭、頭頂部で、右か左かの一側性の血腫が大半です。

上記のCTでは、両側に慢性硬膜下血腫が認められています。

 

交通事故では、軽微な頭部外傷が原因と推測されています。

頭部打撲をきっかけにして、脳の表面=脳表に微量の出血あるいは脳脊髄液がたまり、その反応でつくられる膜から少しずつ出血が繰り返され、血腫が大きくなると考えられています(慢性)。

 

受傷直後は、微量な出血であり、CTで確認することはできません。

血腫によって脳が圧迫されると、症状が出現し、このときはCTで確認できます。

血腫はCTで白く映り、このことを高吸収域と呼びます。

慢性の血腫では血液濃度が薄いときがあり、CTでは灰色=等吸収域、黒色=低吸収域で映ることもあります。もちろん、MRIも診断に有用です。

 

外傷後3週間~数カ月以内に発症し、50歳以上の高齢者の男性に多くみられます。

頭部外傷後、数週間の無症状期を経て頭痛、嘔吐などの頭蓋内庄亢進症状、片側の麻痺やしびれ、痙攣、言葉がうまく話せない、呆けや意欲の低下などの精神障害とさまざまな神経症状が見られます。

 

これらの症状は年代によってかなり差がみられ、若年者では、頭痛、嘔吐を中心とした頭蓋内庄亢進症状、片麻痺、失語症を中心とした局所神経症状がみられます。

高齢者では、潜在する脳萎縮により頭蓋内圧尤進症状は少なく、痴呆などの精神症状、失禁、片麻痺による歩行障害などが主な症状です。

 

呆けだけを発症する慢性硬膜下血腫もあり、事故後早期に、急な呆け症状が見られたときは、慢性硬膜下血腫を疑うことも重要です。

なぜなら、この呆け症状は、治療可能な痴呆症であるからです。

 

また、急激な意識障害、片麻痺を発症し、さらには、脳ヘルニアで生命に危険を及ぼす急性増悪型慢性硬膜下血腫も存在します。

 

症状より壮年~老年期の男性で頭痛、片麻痺、歩行障害や上肢の脱力、記銘力低下、意欲減退、見当識障害、痴呆の精神症状が徐々に進行するときは、慢性硬膜下血腫を疑うことが必要です。

高齢者などでは、老人性痴呆、脳梗塞として診断されることが少なくありません。

もちろん成人でも、男女を問わず、頭部外傷後数週間を経過してから前述の症状が見られたときは、慢性硬膜下血腫を疑うべきです。

画像診断を確実にするには、CTあるいはMRIが有効です。

 

治療は、血腫が少量で症状も軽いときは、自然吸収を期待して経過観察とすることもありますが、通常は局所麻酔下の手術が行われます。

慢性の血腫はさらさらした液状のため、大きく開頭しなくても小さな孔から取り除くことができます。

この術式は、穿頭血腫除去術あるいは穿頭血腫ドレナージ術と呼ばれています。

 

意識障害を伴う重篤な症状であるときは、緊急手術が行われ、ときには、74号、52号の後遺障害を残すこともありますが、それ以外では、予後は良好、ほとんどは社会復帰が可能です。

それでも片麻痺、言語障害や認知症症状などを残すことが多く、注意深く立証すれば、910号となります。

なお、事故後認知症?の症状が急激に悪化するケースでも、MRIによって脳内の出血等の立証が困難なケースもあり、この場合には、事故と発生している症状の関係の立証に困難を来すケースもあります。

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