5 相談を受けることの多い、鎖骨骨折について

ポイント5図1.gif

自転車、バイクVS自動車の交通事故で、被害者が転倒、手・肘・肩などを打撲したときに、その衝撃が鎖骨に伝わり、鎖骨骨折を発症する事例が多いです。
追突、出合い頭衝突、正面衝突では、シートベルトの圧迫で鎖骨が骨折することもあります。

鎖骨の横断面は、中央部から外側に向かって三角形の骨が、薄っぺらく扁平して行きます。
三角形から扁平に骨が移行する部位が鎖骨のウィークポイントであり、鎖骨骨折の多くが、その部位で発生しています。
この部位は、より肩関節に近いところから、遠位端骨折と呼ばれています。
体から離れた方の末端が遠位端、近い方の末端が近位端と考えて下さい。

その次の、傷害の好発部位は、肩鎖関節部です。
肩鎖靱帯が断裂することにより、肩鎖関節は脱臼し、鎖骨は上方に飛び上がります。
治療は、ほとんどがオペによらず、固定による保存療法が選択されています。
胸を張り、肩をできる限り後上方に引くようにして、クラビクルバンドを装着、固定します。

 

ポイント5図2.jpg

クラビクルバンド

一般的には、成人で4~6週間の固定で、骨折部の骨癒合が得られるようです。

鎖骨骨折における後遺障害のポイント
1)鎖骨は体幹骨であり、骨折等により、変形が残る場合、体幹骨の変形として12級5号の認定が予想されます。
鎖骨部位の変形が、裸体の状態で確認できれば、認定基準を満たすと言えます。

鎖骨の変形では、骨折部に運動痛が有るか、無いかも、賠償額の算定においては、重要なポイントになります。
体幹骨の変形による12級5号では、骨折部の疼痛も周辺症状として含まれてしまいますので、疼痛の神経症状で12級13号が認定され、併合11級となることはないのですが、痛みもなければ、変形で12級5号が認定されても、逸失利益のカウントは原則としてありません。
しかし、運動痛が認められていれば、5~10年程度の逸失利益が期待できます。
変形に伴う痛みは、鎖骨骨折部のCT、3D撮影で骨癒合状況を明らかにして、立証することが考えられます。
骨癒合が完璧で、全く異常が無い場合、神経症状が認定されることは少ないでしょう。

2)鎖骨の遠位端骨折部の変形により、肩関節の可動域に影響を与えることが予想されます。
こうなると、鎖骨の変形以外に、「肩関節の機能障害」が後遺障害の対象となります。

もっとも、関節の可動域が、事故前よりも制限されると訴えても、その制限が、医学的証拠によって裏付けられなければ、後遺症としての認定はされません。この点に注意が必要です。
となれば、骨折部位の変形をCT、3D等で立証することを検討しなければなりません。
制限が医学的に立証できる場合、左右差で、4分の3以下であれば、12級6号が認定され、先の変形による12級5号と併合され、併合11級が認定されることになります。

ポイント5図3.pngポイント5図4.png

 

部位

主要運動

参考運動

肩関節

屈曲

外転

内転

合計

伸展

外旋

内旋

正常値

180°

180°

0°

360°

50°

60°

80°

86

20°

20°

0°

40°

 

 

 

1010

90°

90°

0°

180°

25°

30°

40°

126

135°

135°

0°

270°

40°

45°

60°

主要運動が複数ある肩関節の機能障害については、屈曲と、外転+内転のいずれか一方の主要運動の可動域が、健側の2分の1以下に制限されているときは、肩関節の機能に著しい障害を残すものとして10級10号、同じく、4分の3以下に制限されているときは、肩関節の機能に障害を残すものとして12級6号が認定されています。
もっとも、先に述べたとおり、あくまでも、可動域に制限が生じていることが、医学的に立証できることが必要となります。
当事務所で取り扱った事例でも、10等級が認定されるようなケースでは、遠位端の骨折等を併発し、CT等で肩関節の接合状況に、左右差が認められるようなケースでした。
なお、屈曲と、外転+内転が、切り離して認定されていることに注意してください。

 

 

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この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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