215 肺血栓塞栓、肺脂肪塞栓 (はいけっせんそくせん、はいしぼうそくせん)

心臓から肺へ血液を運ぶ血管である肺動脈に、血液や脂肪の塊、あるいは空気などが詰まり、肺動脈の流れが悪くなる、閉塞してしまうことを肺塞栓症と呼んでいます。

血栓が原因では、血栓塞栓、脂肪では脂肪塞栓、空気では空気塞栓と呼ばれています。

これらの中では、肺血栓塞栓症が最多となっていますが、交通事故で発症することは稀です。

 

次に多いのは、交通事故や外傷などで、下腿骨を骨折したとき、骨髄にある脂肪が血液の中に入り、静脈を通って肺に詰まる脂肪塞栓です。

 

肺血栓梗塞は、塞栓により、肺組織への血流が途絶え、その部位から先の肺が壊死するものです。

代表的には、下肢の静脈内でできた血栓が肺に詰まるエコノミークラス症候群です。

 

肺脂肪塞栓

 

骨折の合併症の中で、最も重篤なものです。

骨折により損傷した骨髄中の脂肪滴が、破綻静脈内に入り、脂肪滴が静脈を通じて大量に全身に循環した結果、肺や脳などに脂肪による塞栓が生じると、重篤な呼吸・神経麻痺を起こします。

 

多発外傷>骨盤骨折>大腿骨骨折>????骨骨折の順で発症の可能性が高く、上腕骨骨折、頭蓋骨々折、胸骨々折や肋骨々折では、全くと言っていいほど報告がありません。

 

骨折と脂肪塞栓の因果関係について、外傷後の骨折の結果、体内の脂肪代謝が変化し脂肪塞栓を引き起こしているのではないかと言われることもあり、現在も、原因は特定されていません。

 

通常は受傷後、12~48時間の潜伏期を経て発症、多くは発熱、頻脈、発汗が初症状で、過半数の症例に前胸部や結膜に点状出血=赤いポツポツが見られます。

肺に塞栓が生じたときは、胸痛、頻呼吸、呼吸困難の症状を訴え、低酸素脳症に発展したときは、意識障害を起こします。

詰まった脂肪が大きく、太い血管に詰まったときは、ショック状態で死に至ります。

 

呼吸症状のために急速なヘモグロビンの低下を招き、動脈血ガス分析=動脈中の二酸化炭素や酸素量を調べる検査では、70㎜Hg以下の低酸素血症を示します。

 

 

肺に塞栓が認められるケースでは、肺のXPで、両肺野に特有の snow storm =吹雪様の陰影が見られ、脳内に塞栓が生じたときは、MRIで、急性期には点状出血に一致してT2強調で白質に散在する高信号域の小病巣がみられます。

 

 

突然の胸痛や呼吸困難では、まず心電図と胸部X線検査、血液検査が行われます。

次に、血液ガス分析で低酸素、心臓超音波検査で右心不全を認めれば本症が疑われ、造影CTによって、肺動脈内の塞栓を確認すれば、確定診断となります。

 

肺脂肪塞栓における後遺障害のポイント

 

1)頭部外傷 高次脳機能障害認定の3要件

①頭部外傷後の意識障害、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること、

②頭部外傷を示す以下の傷病名が診断されていること、

③上記の傷病名が、画像で確認できること、

 

そして、②の頭部外傷の傷病名には、脳挫傷、急性硬膜外血腫、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫、びまん性脳損傷、外傷性くも膜下出血、外傷性脳室出血、低酸素脳症と記載されています。

この低酸素脳症が、肺脂肪塞栓、脳脂肪塞栓に合併する後遺障害、高次脳機能障害となります。

 

2)肺脂肪塞栓、脳脂肪塞栓は、入院中に発症しています。

発症率は、長管骨単純骨折の0.5~3%ですが、大腿骨々折に限定すれば33%、そして、死亡率は5~15%と報告されています。

 

3)酸素供給が停止すると、大脳で8分、小脳で13分、延髄・脊髄では45~60分を経過すれば、組織は死滅し、生命を失います。

つまり、8分以内に呼吸が確保されないと、低酸素脳症による高次脳機能障害を合併するのです。

入院中であり、早期に発見されても、8~10分以内の対応は簡単なことではありません。

 

脂肪塞栓では、当初の傷病名からは予測できない急変で、生死に関わる事態を迎えるのです。

現在のところ、これを防止する有効な手立てはありません。

 

3)本件の後遺障害の立証は、高次脳機能障害に同じです。

症状固定は、受傷から1年後が通常であり、的確な神経心理学的検査で、日常生活、社会生活の支障を立証する必要があります。

詳細は、頭部外傷後の高次脳機能障害のところで解説をしています。

 

 

 

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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