脊髄の前角障害、前根障害

先に、脊髄の中心部が損傷する中心性頚髄損傷を説明していますが、本症例は、脊髄の前角部あるいは前根部が損傷したものです。

いずれにしても、脊髄損傷のカテゴリーであり、ムチウチではありません。

189-1.jpg189-2.jpg

脊髄の横断面

 

脊髄の中心部には、蝶のような形をした灰白質があります。

1つの脊髄末梢神経では、第1脊髄神経を除き、2つの神経根が存在しています。

①前根=運動神経根

脳や脊髄からの信号を、運動神経根を経由して筋肉に伝達しています。

 

②後根=感覚神経根

灰白質の後方にあって、触覚、姿勢、痛み、温度などの感覚情報の信号を体から脊髄に伝えます。

 

※感覚情報の信号は、脳に行くものと、脳から来るものがあり、それぞれ別の経路を通ります。

 

①外側脊髄視床路 感覚神経根で受けた痛みや温度の信号が、この経路を通って脳に伝わります。

②脊髄後索 感覚神経根で受けた腕や脚の位置信号が、この経路を通って脳に伝わります。

③皮質脊髄路 筋肉を動かす信号が、この経路を通って脳から運動神経根に伝わり、運動神経根を通じて筋肉に伝わります。

 

症状は、頚椎症性脊髄症と同じで、圧迫部位より下の手・足の症状、箸が持ちにくい、字が書きにくい、ボタンがはめにくいなど、手指の巧緻運動が困難で、著明な筋萎縮と筋力低下、弛緩性運動麻痺が認められ、片側性が多いのですが、両側性も報告されています。

 

頚椎症性脊髄症では、下肢が突っ張って歩きにくい、階段を降りるとき足がガクガクする、上肢の筋萎縮、脱力、上下肢および体幹の痺れ、症状がさらに進行すると膀胱直腸障害も出現しますが、前角障害、前根障害では、下肢に症状が認められることと、知覚障害は、ほとんどありません。

189-3.jpg

C5/6では、三角筋、上腕二頭筋、棘上筋、棘下筋、腕撓骨筋に筋萎縮が認められます。

回外筋の筋力低下は認められますが、回内筋の筋力は保たれていることが多いのです。

 

C7では、上腕三頭筋の筋萎縮を認める。

翼状肩甲を合併することが多いと報告されています。

回内筋の筋力低下を合併することが多いとも報告されています。

 

翼状肩甲とは?

189-4.jpg

上腕を挙上する際に、肩甲骨の内側縁が浮き上がります。

これが、天使の羽根のように見えるので、翼状肩甲骨と呼ばれています。

 

正常肩関節では、上腕を90°以上挙上するときには、肩関節だけでなく、肩甲骨の内側で前鋸筋や僧帽筋の働きで、肩甲骨が胸郭の外側を滑るように前方に移動し、下端が上方に回転しています。

前鋸筋の麻痺では、肩甲骨の内側縁が浮上し、翼状肩甲骨となり、上腕の屈曲ができなくなります。

 

C8では、小手筋、第1背側骨間筋の筋萎縮が見られ、総指伸筋の筋力低下で垂れ指となります。

手指背屈位でMP関節の背屈ができず、小指外転筋の筋萎縮、尺側手根伸筋の筋力低下が認められます。

 

立証は、病変の広がりについては、針筋電図による脱神経所見の検索が有用です。

頚椎MRI、ミエログラフィー、NCVMEPなど電気生理学検査も実施されています。

 

前角障害と前根障害の2つがありますが、前角障害では、神経の回復が不可逆性になる可能性が高く、早期オペの適応となります。

前角障害、前根障害は、頚椎症性筋萎縮症と診断されることもあります。

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

相談料金・着手金0円 交通事故無料法律相談のご予約 TEL:048-940-3971 受付時間 平日9時~22時 土曜10時~18時

交通事故に関する法律相談のご予約はこちら

  • 交通事故無料法律相談のご予約
  • 交通事故に詳しい専門家に相談したい
  • 治療で仕事に行けない・・・どうしたらいい?
  • 保険会社が厳しいことを言ってくる
  • 賠償額がいくらになるのか知りたい
  • 後遺障害等級認定が取れるのか知りたい
  • 法律事務所との連携をお考えの方へ
  • 交通事故に詳しい専門家に相談したい
  • 治療で仕事に行けない…どうしたらいい?
  • 保険会社が厳しいことを言ってくる
  • 賠償金額がいくらになるのか知りたい
  • 後遺障害等級認定が取れるのか知りたい
  • 法律事務所との連携をお考えの方へ