131 PCL 後十字靱帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)

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ACL前十字靱帯とPCL後十字靱帯は、ともに膝関節の中にある靭帯で、大腿骨と脛骨をつなぎ、膝関節における前後の動揺性を防止している重要な靱帯です。
交通事故では膝をダッシュボードで打ちつけて発症することが多く、dashboard injuryと呼んでいますが、PCLだけの単独損傷はほとんどありません。
多くは、膝蓋骨骨折、脛骨顆部骨折、MCL損傷を伴いますので実に厄介な外傷となるのです。
運転席や助手席で膝を曲げた状態のまま、ダッシュボードに外力・衝撃などによって、膝を打ちつけ、脛骨が90°曲がったまま後方に押しやられることで、PCL後十字靱帯損傷を受けることがあります。

同時に、膝蓋骨骨折・脛骨顆部骨折などに合併して生じることが多いようです。131-2.jpg

後十字靭帯損傷は、前十字靭帯損傷と比べ、機能障害の自覚や痛みが少ないのが特徴のようです。
前十字靭帯損傷に比して、痛みや機能障害の自覚が小さいものの、痛みと腫れは出現します。
靭帯が切断されているときは、当然ながら、膝がぐらつくので、そのぐらつきの有無や特性により診断が行われるようです。
①posterior sagテスト
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膝を90°屈曲すると、下腿の重みで脛骨が後方に落ち込みます。
仰向けで股関節を45°と膝を90°曲げます。
後十字靭帯断裂では、脛骨上端を後方に押すとぐらつきます。
上記のテストで大まかな診断が可能なようですが、損傷のレベルを知るためには、単純X線写真、CTスキャン、関節造影、MRI等の検査を行います。
MRIがとても有効です。
  ②ストレスXP撮影
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脛骨を後方に押し出し、ストレスをかけた状態でXP撮影を行います。
断裂がある場合、脛骨が後方に押し出されて写ります。
後十字靭帯損傷とは、靭帯が部分断裂したレベルであり、単独損傷では、大腿四頭筋訓練を中心とした保存療法が選択されるようです。
膝を90°屈曲すると、下腿の重みで脛骨が後方に落ち込むのですが、これが10mm以上となると、後十字靱帯は断裂しており、再建術が必要になるようです。
自家組織のハムストリング腱、膝蓋腱などを編み込んで、アンカーボルトで留めるという高度な技術の必要な再建術が行われるようです。

PCL 後十字靱帯損傷における後遺障害のポイント

1)PCL後十字靱帯損傷の治療は、保存療法が中心のようです。
部分断裂であれば、硬性装具とハムストリングの強化で、一定の改善が得られるようです。
完全断裂であっても、上記の保存的療法が推奨されているようですが、完全断裂の根治は、再建術が検討されます。
①PCL後十字靱帯断裂も、4カ月を経過すると陳旧性となっています。
※陳旧性とは、新鮮さを失った古傷のことです。
②4カ月、6カ月が経過した段階で、相手方保険会社に、再建術を申し入れても、治療の必要性含め、その費用負担について協議の必要が生じます。
③さらに、再建術では、3、4カ月の入院と3カ月以上のリハビリ通院が必要となることが一般のようです。
2)膝に動揺性が認められるときは、膝を4点で固定するドンジョイが選択されることが多いです。

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後十字靱帯の損傷、断裂は、MRIで立証します。
動揺性は、ストレスXP撮影で、健側に比して○mmの動揺性が認められると、明確な記載を受けます。

下肢の動揺関節による後遺障害等級

87

労働に支障があり、常時固定装具の装着を絶対に必要とする程度のものは、1関節の用を廃したものとして87号の該当性が問題となります、

1011

動揺関節で労働に支障があるが、固定装具の装着を常時必要としない程度のもの、

127

動揺関節で通常の労働には固定装具の装着の必要がなく、重激な労働等に際してのみ必要のある程度のもの、習慣性脱臼および弾発膝を残すもの、

 

後遺障害の立証には、ストレスXP撮影が必要となります。

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この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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