249 動眼神経麻痺 (どうがんしんけいまひ)

動眼神経麻痺は、眼そのものの外傷ではなく、頭部外傷、脳幹部の損傷や脳圧の亢進により、第3脳神経が圧迫を受け、これが引き伸ばされたときに発症するものです。

 

 

 

動眼神経が麻痺すると、真っ直ぐ正面を見ているときでも、麻痺が生じた眼は外側を向いており、モノが二重に重なって見える=複視を発症します。

 

 

麻痺側の眼は、内側を見ようとしても、眼球が中央までしか動かず、上下方向には全く、動きません。

さらに、まぶたが下垂し、自力で持ち上げることができません。

動眼神経は、瞳孔のコントロールもしているのですが、麻痺により、瞳孔は散大し、光に対する反応で収縮しなくなります。

 

 

 

目を動かす神経は、滑車、外転、動眼神経の3つで、滑車神経と外転神経は、単に、眼球を動かすだけの運動神経ですが、動眼神経は、眼球を動かす運動神経であって、自律神経を構成する副交感神経という側面をもっています。

 

 

①眼球運動障害

眼球を動かす筋肉、外眼筋は、合計6種類があるのですが、それらの6種類の筋肉は、滑車、外転、動眼の3つの神経に支配されています。

動眼神経は、内直筋、上直筋、下直筋、下斜筋、4つの外眼筋を支配、滑車神経は上斜筋、外転神経は外直筋、1つの外眼筋を支配しているのです。

これらの神経に異常や麻痺があれば、支配筋肉を動かすことができなくなります。

動眼神経麻痺では、障害された眼は、正中視で外側=耳側に偏位します。

また、動眼神経は、外眼筋の支配以外に、眼瞼、まぶたを挙上するための上眼瞼挙筋を支配しており、動眼神経が障害されると眼瞼下垂が生じます。

 

②自律神経の障害

すでに説明した通り、動眼神経には自律神経としての働後遺症害のポイントあり、その作用は縮瞳作用になります。

したがって、動眼神経が障害されると瞳孔が散大します。

動眼神経障害では、障害のある眼球が、正中視で外側に偏位し、眼瞼下垂、瞳孔散大が出現するのです。

 

動眼神経麻痺における後遺障害の後遺症害のポイント

 

1)眼球の運動障害では、

 

 

眼球の運動は上下、内外、上下斜めの3対の外眼筋の一定の緊張で維持されています。

外眼筋の一部が麻痺すると、緊張状態が壊れ、反対の方向に偏位することになります。

後遺障害では、視野計を使用し、注視野を測定します。

 

 

ゴールドマン視野計

注視野とは、頭部を固定した状態で、眼球の運動のみで見える範囲のことですが、単眼視では各方向50°両眼視では45°となります。

注視野の広さが2分の1以下に制限されていれば、著しい運動障害として、単眼で12級1号が、両眼で11級1号が認定されています。

 

単眼視注視野範囲

 

 

両眼視注視野範囲

 

 

眼球運動障害として後遺障害等級に該当しないものであっても、複視が認められるときは、その程度に応じて等級が認定されています。

 

 

複視には正面視での複視、左右上下の複視の2種類があります。

 

 

検査には、ヘスコオルジメーターを使用し、複像表のパターンで判断します。

 

 

ヘスコオルジメーター

 

正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障を来すものとして10級2号が認定されています。

 

左右上下の複視は、正面視の複視ほどの大きな支障はないものの、軽度の頭痛や眼精疲労は認められます。このときは、13級2号の認定がなされます。

 

2)まぶたの運動障害

まぶたの運動障害は、顔面や側頭部の強打で、視神経や外眼筋が損傷されたときに発症します。

ホルネル症候群、動眼神経麻痺、眼瞼外傷、外転神経麻痺が代表的な傷病名です。

 

まぶたには、以下の3つの運動があります。

①まぶたを閉じる=眼瞼閉鎖、

②まぶたを開ける=眼瞼挙上、

③またたき=瞬目運動

 

後遺障害の、まぶたに著しい運動障害を残すものとは、まぶたを閉じたときに、角膜を完全に覆えないもので、兎眼、まぶたを開いたときに、瞳孔を覆うもので、これは、眼瞼下垂と呼ばれています。

 

 

いずれも、単眼で12級2号、両眼で11級2号が認定されています。

実務上は、顔面の醜状障害として上位等級の9級16号を目指すことが大半です。

 

3)瞳孔に関すること

瞳孔は通常は光に反応して収縮します。

自律神経が支配していますが、目に入る光量が低下すると最大6㎜の大きさに散大します。

猫の眼はこの機能を分かりやすく説明してくれます。

外傷によって瞳孔が開いたままとなり、光に対する反応が消失、または減弱したものを外傷性散瞳と呼んでおり、これらは、眼科医のハロゲン・ペンライトによる対光反射検査で立証します。

 

瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に支障を来すものは、単眼で12級相当、両眼で11級相当が認定されます。

瞳孔の対光反射は認められるが不十分であり、羞名を訴え労働に支障を来すものは、単眼で14級相当、両眼で12級相当が認定されます。

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

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