57 外傷性腰部症候群の神経症状

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脊椎は、25の椎骨が椎間板というクッションをはさんで、頚部~尾底骨まで連なったものです。

頚椎はC、胸椎はTh、腰椎はL、その下の仙椎はSと表示します。
腰椎は5つの椎骨が椎間板を挟んで連なっており、椎骨の空洞部分は、脊髄が走行しています。
脊髄は、L1で終わり、それ以下は馬尾神経が走行しています。
椎間板、脊椎を縦に貫く前縦靭帯と後縦靭帯、椎間関節、筋肉などで椎骨はつながれています。
椎骨の馬尾が走行する部分を椎孔といい、椎孔がトンネル状に並んでいるのを脊柱管と呼びます。
馬尾神経から枝分かれした神経根は、それぞれの椎骨の間の椎間孔と呼ばれる部分を走行、身体各部を支配しています。

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外傷性腰部症候群で注目すべきは、L3/4/5/S1の神経根です。
脊髄から枝分かれのL3/4/5/S1の左右6本の神経根は、それぞれの下肢を支配しているからです。57-3.jpg
L3/4のヘルニアでは、L4神経根が障害され大腿前面、下腿内側面に知覚障害が出現、膝蓋腱反射は減弱、つまり大腿四頭筋・前脛骨筋が萎縮し、大腿神経伸展テスト=FNSが陽性となります。57-4.jpg
L4/5のヘルニアでは、L5神経根が障害され、下腿前外側、足背に知覚障害が出現、長母趾伸展筋の筋力低下、大臀筋の萎縮が見られ、ラセーグテストは陽性となります。57-5.jpg

L5/S1のヘルニアでは、下腿外側、足背、足底外縁に知覚障害が出現、アキレス腱反射は低下・消失し、腓腹筋および腓骨筋力が低下して、つま先立ちが不可能となります。
ラセーグテストでは、陽性所見を示します。

外傷性腰部症候群における後遺障害のポイント

 

1)医師に因果関係を聞いても、断言してくれる医師は少なくとも当職の経験上おりませんでした。
脊椎の変性は18歳頃から始まると言われています。
したがって、30歳を超えれば、ほぼ全員の被害者に、大なり小なりの年齢変性が認められる可能性があります。年齢変性の代表は、腰椎椎間板ヘルニアで、多くは末梢神経である神経根を圧迫しています。
末梢神経である神経根は、膜で覆われた状態で存在しています。
事故前にヘルニアが存在していても、多くは無症状ですが、交通事故の衝撃で、この膜に傷がつくと、支配神経の領域に、痛み、痺れなどの神経根症状が出現します。
そして、この症状が、後遺障害の対象となるか、問題となります。

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14級9号程度の損傷であれば、傷ついた膜の修復がなされると、症状はほぼ無くなると考えられており、時間はかかりますが、生涯、痛みや痺れが継続することは認められません。
2)早期のMRI撮影
早期(2ヶ月以内)のMRI撮影で神経根に浮腫が確認できることがあります。
これが確認できれば、腰部椎間板ヘルニアは、外傷性であることを立証したことになります。
XPやCTは骨を見るためのもので、神経根が確認できるのは、MRIになります。
症状が認められる場合、受傷後2カ月以内に、MRIの撮影を受けることをお勧めします。
(なお、患部の骨損傷(こすれ)の状況が、事故直後と時間経過後の状況で異なっていることが立証できれば、場合によっては12級の他覚的所見の立証にも使えます。)
受傷後に撮影したMRIで、L4/5/S1の神経根の通り道が狭まり、明確に圧迫を受けていることが確認できたときは、自覚症状に一致した画像所見が得られたことになり、後遺障害の獲得に相当、近づいたことになるのです。

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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