52 手指の靱帯・腱損傷および骨折における後遺障害のポイント

 

2)治療の現場では

手指の専門外の開業医では、靱帯や腱損傷の知識に乏しく、あまり関心を示してもらえないという印象です。そのため、可動域に制限が残っても、その理由が診断書に記載されないケースが多く、お願いすればようやく靱帯等の損傷を記載していただける印象です。もちろん、画像での立証が必要ですが、診断書に記載が落とされていることが多いということです。

骨折の発見では真剣さがありますが、XPによる画像診断では見落とすことが多いのです。

CTMRIと積極的に撮影すればいいのですが、そこまでしていただけるケースは、少ないのではないでしょうか(頼みづらい雰囲気です。)。

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結果、「突き指なら、しばらく、様子を見ましょう?」で、スルーされることが大半、カルテに自覚症状の記載を残すこともされないことがあります。この場合、後日やはり痛みが残るということで、診断書に突然症状が記載されるような外形になり、因果関係が疑われるケースがあります。

 

実際、当事務所が経験したケースでも、当初診断書に記載が無かったことから、訴訟になった段階で、その治療の必要性から争われたケースを経験しています(このときは、事故態様から、交通事故が原因という認定を裁判所にしてもらいましたが、不要な論点が増えてしまいます。)。

 

幸い、骨折が発見されたときでも、ギプス固定がやっとで、後療法のリハビリには無関心です。

 

なお、被害者にとって、たちが悪いのは、受傷直後では、それほどの訴えでもないのに、時間の経過とともに、ズレや不安定性が増強し、痛みや運動制限の訴えが強くなってくることです。

損保料率機構調査事務所は、等級の審査では、受傷直後からの症状の一貫性を重視しています。

ときをおいて、だんだん重症化するものは、疑いの目で見られるのです。

もちろん、裁判で争った時にも、相手方弁護士は、この点を主張してきます。

 

3)合理的な解決には?

医師の対応に疑問を感じた場合、受傷2カ月以内に専門医を探し出して受診することができればベストです。

 

専門医の優れたオペと後療法がなされれば、多くは後遺障害を残すこともなく治療が完了します。

もっとも、交通事故ですから、不可逆的な損傷で後遺障害を残すこともあります。この場合であっても、専門医がきちんと治療をした結果残った症状ですから、後遺障害の相当性を主張しやすくなります。

 

現実は、こんなにスムースには進んでいません。

医師と患者の力関係(知識や立場)の差から、そのまま治療を続けざるをえず、保険会社から治療打ち切りの催促を受ける段階で、今後の治療に不安を抱く被害者がほとんどです。

受傷から46カ月を経過していれば、専門医を受診、オペを受けても外傷は陳旧化しており、劇的な改善は得られず、当然のことながら、後遺障害も本件事故との因果関係を立証することができないで、本来的な賠償金を得ることが難しくなります。

 

4)後遺障害について

まず、手指の機能障害では、認定基準が相当に厳しいという事実があります。

もう1つ、手指の可動域の計測は煩わしい作業で、いつでも正確ではない現実もあります。医師の感覚としても、医師面談した経験からすると、所詮指でしょ、という感覚で対応される感じです。

 

 

この記事を書いた人

弁護士法人江原総合法律事務所

埼玉・越谷地域に根差し、交通事故に豊富なノウハウを持つ江原総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。交通事故分野における当事務所の対応の特徴は、「事故直後」「後遺症(後遺障害)の事前認定前」からの被害者サポートです。適切なタイミングから最適なサポートをいたします。

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