後遺障害認定のポイント38.高次脳機能障害チェックリスト

1)第1段階

① まず、入口部分の3要件を満たしているかをチェックします。

 

意識障害

傷病名

画像所見

高次脳機能障害

1

2

×

3

×

4

×

×

×

×

 3要件では、意識障害所見の立証が最も重要です。

軽度な意識障害、健忘では、医師も後遺症の残存や立証までは考えていないのが通常のため、レセプトや診断書上、意識障害が明確にされていないことがあります。

意識障害の立証ができない場合、その他の全てが立証できても、高次脳機能障害の認定がなされない可能性が高いと言えます。

 

②次に、傷病名を確認します。

傷病名が脳挫傷、びまん性軸策損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血であること。 

骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症、脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症も含みます。

 

上記傷病名が、XPCTMRIで確認されているかを確認します。

局所性の損傷 MRIT2FLAIRで脳萎縮、脳室拡大の進行が確認できること、

びまん性軸索損傷の点状出血は、急性期であれば、MRIDWI:ディフージョン、症状固定時期であれば、MRIT2スターで陳旧性の出血痕が確認できていること、

①と②が明らかであるにもかかわらず、画像による立証ができていない場合、主治医面談の上、新たな撮影を依頼しなければなりません。場合によっては、転院や、外部での撮影を依頼することも検討が必要です。

 

2)第2段階

次に、3要件の立証資料の確認が終われば、その後に行う神経心理学的検査のメニューを決定する必要から、日常生活における支障、具体的かつ詳細な内容を家族から聴き取ります。

 

遂行障害・失語では、

被害者の話し方を観察します。

運動性失語では、左前頭葉のブローカ領域の損傷→流暢性の喪失

感覚性失語では、左側頭葉のウェルニッケ領域の損傷→空疎な発言

 

②被害者の態度を観察します。

易怒性、易疲労性、集中力の欠如、幼児退行などが認められる場合が多いです。

家族から日常生活でのエピソードを聴き取り、ギャップを抽出する。

高次脳機能障害の特徴として、病識の欠如があります。自分で自分の病識を認識できれば、それは高次脳機能障害ではないでしょう。

 

記憶障害では、

昨夜、夕食は何を食べたのか、今朝の朝食、何時頃、どんなものを食べたのか、事故以来、物忘れがひどくなっていないかを確認します。

逆向性健忘あるいは前向性健忘

 

カップラーメンにお湯を入れてそのまま、こんなことはありませんか

ワーキングメモリーの喪失

家族全員の名前、主治医の先生の名前、自宅のペットの名前が言えますか

固有名詞失名辞

病院への通院日や外出する日を約束しても、単に忘れていたのではなく、まったく約束自体を覚えていないことがありますか

言語・聴覚にまつわる記憶障害

 

近隣でも迷子になったことがありますか

新しい場所では、帰って来られないことがありますか

地誌的障害

 

視覚認知機能、失認、失行では、

歩いていてよく左肩をぶつけませんか

食卓に並んだいくつかのおかずの皿から右半分しか箸をつけないような状況がありますか

片側から話しかけられても反応しない、片側に人が立っていても存在に気づかないことがありますか

家の絵を描かせると片側半分だけしか描かないような状況がありますか

半側空間無視

 視野狭窄であれば、別途後遺症の認定の可能性も疑います。

 

右手を出してと言われて左手を出すなど、よく左右を間違える

左右失認、空間認識能力の低下

 

主治医の顔、もしくは新しく出会った人の顔を覚えられないことがありますか

相貌失認

 

箸やスプーン、歯ブラシが使えない等、事故前は、よく使っていた電気器具の使用法を忘れてしまったことはありませんか

 

注意、遂行機能障害では、

仕事を始めてもすぐ、ボーッとしてしまい、集中力がもたない

お皿を洗っている途中、気がつくと、テレビを観ている

窓の掃除をすると、ずっと同じところを拭いている

注意障害、集中力が極端に低下、脈絡のない行動、会話まとまりがない、話が飛びがち、同時にいくつかの作業を進めることができない、一つのことに固執

 

旅行の計画はおろか、スケジュールを立てることができなくなった

買い物の段取りが悪く、売り場を行ったり来たりして、何倍も時間がかかる

コピーを取ってFAXをする、その間に電話をするなど、同時並行で複数の作業ができない

家族に促されないと病院に行かない、薬を飲まない

物事を計画する、効率よく処理する、最後までやり遂げることができない、同時に2つの作業を進めることができない、自発性の低下、

 

情動障害、人格変化では、

些細なことで怒る。

②幼児に返ったように行動し、発言が子供っぽくなった

人前でも平気で着替えを始めてしまう?

好きなお菓子ばかりを食べ続け、他の食べ物には見向きもしない?

易怒性、幼児退行、羞恥心の低下、感情失禁、脱抑制、固執性

感情を理性で抑えることができない

 

毎週のようにゴルフをしていたのに、家にあるゴルフクラブに見向きもしなくなった

猫好きで何匹も飼っていたのに、世話をしなくなった

明るくよくしゃべる人だったのに、無口で暗くなった

「誰かが私の財布を隠した。」 など、被害妄想がある

掃除、片づけをまったくしなくなり、部屋は散らかり放題の状況

逆に、ずぼらだった性格が几帳面になり、神経質に掃除をしている

いつも疲れていて家でゴロゴロ、居眠りが多い。突然、寝てしまう

性格変化、易疲労性

 

味覚・嗅覚・めまい・ふらつきでは、味覚、嗅覚障害として後遺症の認定を受けますが、高次脳との関係でも

味がついているのに、大量に醤油をかけて食べる 

事故後、苦手で食べられなかった魚介類が食べられるようになった

足元にガソリンがこぼれているのに、煙草を吸おうとしてライターを取り出す?

腐った果物を平気で食べる 

まっすぐ歩けず、蛇行している?

めまいを訴える。なんでもないところで転倒する?

頭痛に悩まされている

脳幹出血=運動機能の障害 小脳の損傷=平衡感覚の喪失、運動神経の低下

 

麻痺では、

車椅子、杖、装具の使用状況はどうでしょうか

片側の足や手をよくぶつける、片側の腕や足にキズ・痣が絶えない

火傷をする、お風呂に入る際、手や足の左右で感じる温度が違う

自力で排便・排尿ができない、尿漏れや逆におしっこがでない(尿管損傷等は別途疑います。)

排泄やED障害について

 

3)第3段階

先の聴き取りの結果をもとに、以下の28項目ある神経心理学的検査の中から最適な組み合わせを考え、主治医と相談して最適な検査の実施をお願いします。

 

1ミニメンタルステート検査、MMSE

2長谷川式簡易痴呆スケール、HDS-R

3ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-R) 

4コース立方体組み合わせテスト、Kohs

5ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト、WCST

6Tinker Toy Test

7WAB失語症検査

8標準失語症検査(SLTA)

9老研版失語症鑑別診断検査

10レーブン色彩マトリックス検査、RCPM

11日本版ウェクスラー記憶検査、WMS-R

12リパーミード行動記憶検査、RBMT

13三宅式記銘力検査

14ベントン視覚記銘検査

15レイ複雑図形再生課題、ROCFT

16街並失認、道順失認、地誌的記憶障害検査

17抹消検査、模写検査

18行動性無視検査、BIT

19標準高次視知覚検査

20トレイル・メイキング・テスト、TMT

21パサート、Paced Auditory Serial Addition TaskPASAT

22注意機能スクリーニング検査、D-CAT

23標準注意検査法・標準意欲評価法、CATCAS

24BADSBehavioral Assessment of the Dysexecutive Syndrome

25100-7等の数唱

26MMPI ミネソタ多面人格目録

27CAS 不安測定検査

28ロールシャッハテスト

 

一般的には、以下の3つのテストが実施されますが、不十分であれば、主治医に相談してさらなるテストをお願いすることを検討します。

1ミニメンタルステート検査、MMSE

2長谷川式簡易痴呆スケール、HDS-R

3ウェクスラー成人知能検査 (WAIS-R) 

 

次に重要なことは、治療先の選択です。

主たる治療先に言語聴覚士もおらず、神経心理学的検査が実施できないこともあります。

 

4)最終段階

上記の神経心理学的検査の結果が手に入りました。

頭部外傷後の意識障害の所見は、第1段階で入手しています。

最終段階では、後遺障害診断書と神経系統の障害に関する医学的意見、そして、日常生活状況報告です。

日常生活状況報告では、検査結果と聴き取りの内容から、問題点を以下の4つにまとめます。

1意思疎通能力

2問題解決能力

3持続力・持久力

4社会行動能力

 

等級認定後以外にも、介護料の請求や自宅の改造等で、別途賠償請求のための立証は必要になります。高次脳機能障害では、多くが訴訟提起による決着となります。


当事務所の解決事例


頭部・脳

首

上肢

腰

下肢

脊椎・背骨

その他臓器

高次脳機能障害など

頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)など

上腕骨骨折、尺骨骨折、手関節TFCC損傷など

腰椎捻挫、腰椎椎間板ヘルニアなど

骨盤骨折、股関節脱臼など

腰椎圧迫骨折など

その他の事例

 

  • 死亡事故
  • 醜状障害                                                                                          
                   
No 解決事例
14級から11級への認定変更を受け、2000万円の支払を受けた事例
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兼業主婦のむちうち事案で、14等級の認定を受け、新たに約400万円の支払を受けた事例
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11 過失割合が見直され、慰謝料を当初の2倍以上に増額させることができた事例
12 後遺障害10級を獲得した事例
13
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14 「遠方からの見舞費用」「習い事の費用」の損害が認められた事例
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17 死亡事故事案において相手方保険会社の提示した損害賠償金を約1.6倍増額させることに成功した事例
18 損害賠償額を約1.5倍させることに成功した事例
19 事故後2か月で一方的に治療費の支払いを打ち切られたが、最終的に215万円の金銭を取得した例
20 後遺症の症状固定前に弁護士が依頼を受けて後遺障害等級14級9号を獲得し、その後の保険会社の提案額から約1.4倍に増額させることに成功した事例
21 14級9号の後遺傷害認定を獲得し、保険会社の提案額から約2倍以上増額された損害賠償金の獲得に成功した事例
22 受任後約6ヶ月で慰謝料額を約900万増額した事例
23 休業損害を0円から50万円に増額した事例
24 脊柱の変形障害で、第11級第7号の後遺症認定を受けた事案について、訴訟提起後、相手方から、労働能力喪失率がほとんど無い事を前提にした和解案の提示を受けた事案について、労働能力の一部喪失を前提に、相手方代人から呈示された呈示額の約三倍の金額で和解をした事例
25 遺障害等級14級9号を獲得し、損害賠償金約270万円の早期和解が成立した事例
26 高次脳機能障害、関節機能障害等により併合6級の後遺傷害認定を獲得し、人身傷害保険を50万円から1000万円以上に増額するなどして、最終的に約6000万円の獲得に成功した事例
27 2ヶ月で慰謝料及び逸失利益を約240万円増額させた事例
28 腰部挫傷の傷害で、事故後3か月で一方的に治療費の支払いを打ち切られたケースにおいて、最終的に約370万円の金銭を取得した事例
29 家族3名で総額約700万円の損害賠償金を獲得することに成功した事例
30 右第1中手骨骨折の傷害で、後遺障害等級10級を獲得し、約1336万円の金銭を取得した事例
31 頸部、腰部のむち打ちの被害を受けた60代夫婦の交通事故について、等級の取得前の状況からサポートをして14等級を獲得し、その後賠償の交渉を行い、治療費等既払い金を除き、夫婦で合計約560万円を取得した事例
32 踵骨アキレス腱付着部骨折アキレス腱不全断裂などの傷害を負った事案につき、後遺障害等級14級9号を獲得し、損害賠償金260万円の早期和解が成立した事案
33 頸椎捻挫で14級9号を獲得後、約2か月で350万円を獲得した事案
34 腰椎捻挫の傷害で、後遺障害等級14級を獲得し、治療費以外に合計約365万円の損害賠償を認めさせた事例
35 小学生の死亡事故につき、弁護士介入後、交渉のみで約2300万円を増額した事例
36 バイク対トラックの事故により、肩鎖関節脱臼等の傷害を負い、肩関節の機能障害(稼働域制限)を残した事案について、14等級の認定を異議申立により12等級とし、相手方弁護士の無過失の主張を退けて加害者に75%の過失があることを前提に、赤本基準よりも高い基準で和解した事例
37 14級を獲得していた事案において、弁護士介入後、労働能力喪失期間を8年と認めさせた事例
38 14級を獲得していた事案において、弁護士介入後、損害賠償額を約2.6倍に増額させた事例
39 専業主婦のむち打ち事案において、弁護士介入後、後遺障害等級14級の認定を獲得し、約255万円の損害賠償を認めさせた事例
40 14級を獲得していた事案において、弁護士介入後約2週間で、損害賠償額を100万円増額させた事例
41 14級を獲得していた事案において、弁護士介入後、損害賠償額を約140万円増額させた事例
42 過失のある死亡事故事案において、交渉により総額約7300万円の損害賠償金を獲得することに成功した事例
43 併合11級の事前認定を、異議申し立てにより覆し、高次脳機能障害及び味覚障害を認定させて、併合6級とし、合計約3200万円の損害賠償金を取得した事案
44 不適切な後遺障害診断書が作成された事案について、弁護士が別病院に被害者と同行し、適正な後遺障害診断書を作成していただいた上で、10等級の後遺障害認定を受け、過失相殺の割合についても、当初の保険会社主張よりも有利に修正させた上で、既払いの治療費や休業損害約350万円の他に、1800万円の賠償金を取得した事例
45 頸部のむちうち症で14等級の認定を受けた被害者男性について、保険会社から提示された賠償額を、ご依頼から約10日で、約190%に増額(裁判所基準100%)して解決した事例
46 兼業主婦のむち打ち事案において、弁護士介入後、後遺障害等級14級の認定を獲得し、約300万円の損害賠償の支払いを受けた事例
47 後遺障害等級8級の事案において,弁護士介入後,損害賠償額を約1400万円(当初提案額の約2.6倍)増額させることに成功した例
48 後遺障害等級14級の事案において,「弁護士介入後わずか約1か月」で,損害賠償額を約130万円(当初提案額の約2倍)増額させることに成功した例
49 専業主婦のむち打ち事案において、弁護士介入後、後遺障害等級併合14級の認定を獲得し、さらに、専業主婦の休業損害として150万円を獲得した事案
50 70代女性について、併合12級の後遺症の認定を受け、専業主婦としての休業損害及び逸失利益を認めさせたほか、依頼者の過失割合を5%にとどめ、自賠責分を含めて約1000万円の支払いを受けた事例
51 弁護士の介入により、賠償額を約3.5倍まで大幅に上げた事例


 

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