後遺障害認定のポイント12) 上腕骨近端骨折
       
 

 

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 上腕とは、肩関節からぶら下がる二の腕のことで、上腕骨近位端とは、肩関節近くの部分です(つまり、手の先から肩にかけて、心臓に近い方の骨の端を近位端、その反対側を遠位端と言います。)。
 上腕骨近位端骨折は、骨折の部位と骨片の数で、重傷度や予後、治療法が決まります。
 上記のイラストは、骨折の部位と骨片の数による分類を示しています。
 臨床上、この骨折は、骨頭、大結節、小結節、骨幹部の4つに区分されています。

ポイント12図3.gif

 

 

 
 交通事故では、肩を地面に打ちつけることで発症しています。
 高齢者では転倒などの軽い外力により、手をついただけで骨折に至ることが多く、上腕骨近位端骨折は、股関節部の大腿骨近位端骨折、手関節部の橈骨遠位端骨折、脊椎圧迫骨折と並び、高齢者に多い骨折の一つで、その背景には、骨粗しょう症の存在があります。
 ポイント12図4.gif

 

   上腕骨の大結節、小結節は、上腕骨骨頭部で肩関節を構成している部分ですが、右前面図で説明すると、上部左側の小さな盛り上がりが小結節、左上部の大きな盛り上がりが大結節です。
     

ポイント12図5.gif

左は上腕骨が肩甲骨の関節窩に衝突、大結節が骨折したもの、右は、大結節が肩峰に衝突、骨折したもの、

ポイント12図6.gif 
 棘上筋の牽引により大結節が剥離骨折したもの、
      
    

   骨頭でズレのない場合は、3週間の三角巾固定で十分です。
  転位が認められるときは、X線透視下に徒手整復を実施、4週間のギプス固定を行います。脱臼を整復すれば骨折も整復されることが多いのです。
  
  大結節では、転位が軽度でも肩関節の炎症を起こしやすく、経皮的にKワイヤーやラッシュピンで固定するのが主流です。
  
  小結節、骨幹部では、いずれも観血的整復固定術の適用です(メスを入れるということです。)。
  髄内釘やプレート固定が実施されます。
  症状固定時期は、常識的には、高齢者であっても受傷から6ヵ月で決断します。
  後遺障害は肩関節の機能障害で、12級6号、10級10号の選択となります。
  
  小結節、骨幹部で転位の大きいものは、骨頭壊死を発症する可能性が高く、上腕骨頭が壊死すれば、人工骨頭置換術が行われます。
  骨粗しょう症の進んだ高齢者では、高頻度に壊死が懸念されるのです。
  
  
  後遺障害認定のポイント
       
  1)上腕骨近位端骨折では、肩関節の機能障害、つまり可動域制限と骨折部の疼痛が後遺障害の対象となります。
  ポイント12図7-2.png

 

  
  認定される等級は、機能障害においては、8級6号、10級10号、12級6号から、痛みの神経症状では、12級13号、14級9号からの選択です。  

      
       
2)では、骨粗鬆症の高齢者なら、10級10号が期待できるのか?
  必ずしもそういうことにはなりません。
  上腕骨頭頚部骨折であっても、グレードの高い骨粗鬆症でない限り骨癒合は良好に得られます。
  固定後の、リハビリ治療が決め手であり、これを真面目に行えば、2分の1以下の可動域制限を残すことは、ほとんどありません。
  しかし、正常値の180°まで改善することもありません。
  症状固定時期の選択で12級6号を狙うのが現実的な選択です。
  
3)それでは、若年者ではどうか?
 転位(=ズレ)の認められない骨折では、ほぼ治癒しますので後遺障害を残すことは少ないと言えます。
   大結節骨折で、Kワイヤーやラッシュピン、小結節の骨折で、経皮的に髄内釘やプレート固定が実施されたものは、CTの3D撮影で変形骨癒合が立証されていて、なお、症状固定時期を誤らなければ、12級6号、あるいは神経症状で14級9号が認定される可能性があります。
      
4)角度だけで等級が決まるのか?
 等級認定の基準だけから形式的に判断すれば、2分の1以下なら10級10号が認定されるはずですが、可動域制限では、単に可動域が測定上制限されるだけではなく、その制限が生じている原因を緻密に立証しなければなりません。
 ポイントは骨癒合等の状況であり、この点が、チェックされています。
    
 損保料率機構調査事務所は、角度だけの10級10号は、「そのような高度な可動域制限が発生するとは考えられない」として、12級6号もしくは非該当としています。
 10級10号の獲得は簡単ではありません。
      
 

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44 不適切な後遺障害診断書が作成された事案について、弁護士が別病院に被害者と同行し、適正な後遺障害診断書を作成していただいた上で、10等級の後遺障害認定を受け、過失相殺の割合についても、当初の保険会社主張よりも有利に修正させた上で、既払いの治療費や休業損害約350万円の他に、1800万円の賠償金を取得した事例
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